「マイクロソフト系技術情報 Wiki」は、「Open棟梁Project」,「OSSコンソーシアム .NET開発基盤部会」によって運営されています。
目次 †
概要 †
- IBMとMicrosoft社が共同開発した、NetBIOSのAPIを持つ、LAN Manager向けプロトコル。
- OSI参照モデルの第5層・第4層のネットワーク サービスから使用される。
- 古いネットワークAPIだが、互換性のために現在も残されている。
OSI参照モデルの対応表 †
- NBTとNetBEUIはお互いに通信できない。
- 古いネットワーク環境ではNetBEUI、IPX/SPX(NWLink)などを組み合わせて使うこともある。
呼称 †
プロトコル †
- NetBEUIと呼ぶ。
- ただし、NetBEUI は、本来はAPI
- プロトコルを指す場合、正確にはNBF(NetBEUI Frame Protocol)
API †
NetBIOSと呼ぶ。
特徴 †
- 管理の手間も少なくて済む。
- 事前に各ノードにユニークなアドレスを割り付けておく必要がない自己調整型
- 各ノードにNetBIOS名を付けておくと名前解決のためのNetBIOS名のブロードキャスで自動的にお互いを識別し通信する。
- プロトコルの仕様も軽くイーサネット内での通信プロトコルとしては、性能が優れている。
ルーティング能力を持たない †
ただし、ルーティング能力を持たないので、以下のような問題を持つ。
- ネットワーク分割ができない。
- 大規模なネットワークを構築できない。
- 名前解決のためのNetBIOS名のブロードキャストを多用するので、ネットワークが飽和しやすい。
イーサネット限定のプロトコル †
MACアドレスのみを使用して通信する
IPネットワークに対応しないイーサネット限定のプロトコル。
- 単一のネットワークに限定される。
- IPネットワークの一般化により特別な用途を除いて利用されなくなった。
データグラム サービスとセッション サービス †
またNetBIOSでは、
- 「データグラム型通信」をデータグラム サービス
- 「コネクション指向の通信」をセッション サービス
と呼ぶ。
データグラム サービス †
- データグラム サービスにUDPポートの138番を使用する。
- ネットワーク コンピュータの一覧を得る「ブラウジング機能」などに使用される。
セッション サービス †
- セッション サービスにTCPポートの139番を使用する。
- 「ファイル・プリンタ共有サービス」などに使用される。
NBTプロトコル(NetBIOS over TCP/IP) †
IPネットワークに対応 †
現在のIPネットワークではルーティング機能のある
TCP/IPプロトコルを使用するNBTプロトコルを使用している。
- このため、内部的にIPアドレスを使用している。
- 複数のネットワークをサポートする。
Windowsへの実装 †
- Windows NT 3.1で初めてNBTが実装された。
- Windows NTではNetBEUIが標準的なプロトコロルであったが、
- Windows 2000からはNBTが標準的になり、NetBEUIは補助的なプロトコルとなった。
ブラウジング機能 †
WWWブラウザとは関係ないので注意する。
機能概要 †
- Windowsネットワークの中でも難解な技術の一つで、
Windowsネットワークを理解する上で非常に重要になる機能。
- 簡単に言えばコンピュータの一覧を保持する「ブラウズ リスト」を作成し、
クライアントからの要求に対してその内容を提供する機能。
- 「ブラウジング機能」は、名前解決機能ではなく、
名前解決のためのNetBIOS名のブロードキャストでネットワークが飽和しないように、
「ブラウズ リスト」を一元的に作成・維持・管理するだけのものである。
ブラウズ リスト †
確認方法 †
- 「マイ ネットワーク」アイコンを展開することで確認できる。
- この操作は、「net view」コマンドでも可能。
保持するマシン †
ブラウズ リストは、以下のマシンが保持する。
クライアントとサーバー †
マスタ ブラウザ †
ネットワーク上にあるマシンのNetBIOS名のブロードキャストを受け取り、
ワークグループ上の「ブラウズ リスト」を作成する。
バックアップ ブラウザ †
- 「マスタ ブラウザ」から「ブラウズ リスト」のコピーを受け取り、
クライアントの要求に応じて「ブラウズ リスト」を提供する。
- 「マスタ ブラウザ」のコンピュータがシャットダウンされた場合など、
「マスタ ブラウザ」が発見できない場合は自動的に「マスタ ブラウザ」になる。
クライアント †
- クライアントは、「マスタ ブラウザ」に対して自分の存在を示す情報を登録・更新する 。
- この処理は、Computer Browserサービス プログラムで提供される。
ドメイン環境 †
- ドメイン環境では、ネットワークを超えたドメインのコンピュータの一覧を確認できる。
- 「マスタ ブラウザ」以外に、「ドメイン マスタ ブラウザ」が必要になる。
- 「ドメイン マスタ ブラウザ」には、DCがなる。
- 「ドメイン マスタ ブラウザ」は、
- 「マスタ ブラウザ」から「ブラウズ リスト」を受け取る。
- そして、ドメイン全体の「ブラウズ リスト」を作成する。
- その後、「マスタ ブラウザ」にドメイン全体の「ブラウズ リスト」を提供する。
プロトコル †
- プロトコルがTCP/TP(NBT)の場合、TCP・UDPポートの138番を使用する。
- また、NetBIOSのプロトコルがNetBEUIやIPX/SPXの場合は、
プロトコル毎に別々の「ブラウザ」が作成されるなど複雑な動作をする。
一連の処理 †
「ブラウズ リスト」を作成・維持する一連の処理。
クライアントがWindowsネットワークに参加する処理 †
- クライアントは、起動時に割り当てられたNetBIOS名の登録要求をブロードキャストし、ネットワークに参加する。
この処理は「ブラウジング機能」と関係ない。NetBIOS名の登録処理である。
- Windowsネットワーク上の全てのマシンが、このマシン名を許可すればWindowsネットワークに参加できる 。
WINS環境ではWINSサーバがマシン名を許可すれば、Windowsネットワークに参加できる。
- NetBIOS名の重複などでマシン名が許可されない場合は、NetBIOSを使用するネットワーク サービスの提供・利用ができなくなる。
クライアントがブラウズ リストに、エントリを登録する処理 †
- 次に、クライアントは「ブラウズ リスト」にエントリを登録するため、クライアントの属性情報をブロードキャストする。
- 「マスタ ブラウザ」は、このブロードキャストを受信して「ブラウズ リスト」にクライアントのエントリを登録する。
- また、エントリは一定時間経過すると削除されるため、「ブラウズ リスト」にエントリが登録された後も
エントリを維持するためのブロードキャスト パケットがクライアントから定期的に送信される。
クライアントがブラウズ リストを取得する処理シーケンス †
- クライアントが「ブラウズ リスト」を取得するための処理シーケンスは少々複雑。この処理シーケンスを次に示す。
順番 | 名前解決の方法 |
1 | クライアントは、ブロードキャストでワークグループ(ドメイン)内の「マスタ ブラウザ」を問い合わせる。 |
2 | 「マスタ ブラウザ」は、自分自身を含む、「バックアップ ブラウザ」の一覧を返す。 |
3 | クライアントは、「バックアップ ブラウザ」の一覧から3台を選び、キャッシュする。 |
$ | 以降、3台の「バックアップ ブラウザ」内の一台に「ブラウズ リスト」を要求し、「ブラウズ リスト」取得、ユーザに「ブラウズ リスト」を表示する。 |
- 「ブラウズ リスト」の取得後は、ワークグループのコンピュータの一覧を確認できるようになる。
クライアントがWindowsネットワークから離脱する処理 †
- クライアントは、クライアントはシステムのシャットダウン時に
NetBIOS名の解放要求をブロードキャストし、ネットワークから離脱する。
- この処理は「ブラウジング機能」と関係ない。NetBIOS名の解放処理である。
サーバーの確認 †
- 実際にどのマシンが「マスタ ブラウザ」・「バックアップ ブラウザ」に選定されたか
を確認するには、各OSのリソースキット付属の「browstat」コマンドを使用できる。
- 例えば、「browstat dn」コマンドでトランスポートを参照し、
「browstat vw <トランスポート番号>」で選択したトランスポートの
「マスタ ブラウザ」・「バックアップ ブラウザ」を確認できる。
- また、記号の意味の詳細は「browstat /?」のヘルプで確認できる。
C:\Program Files\Support Tools>browstat dn
List of transports currently bound to the browser
1 \Device\NetBT_Tcpip_{53D0A0BF-EC11-413F-8AEF-ADF5736A22F8} → NBTのトランスポート番号
C:\Program Files\Support Tools>browstat vw 1 → トランスポート番号を指定
Remoting NetServerEnum to \\(マシン名a) on transport
\Device\NetBT_Tcpip_{53D0A0BF-EC11-413F-8AEF-ADF5736A22F8}
with flags ffffffff 19 entries returned. 19 total. 16 milliseconds
\\(マシン名1) NT 05.01 (W,S,NT,PBR)
\\(マシン名2) NT 05.01 (W,S,NT,PBR)
\\(マシン名3) NT 05.01 (W,S,NT,PBR)
\\(マシン名4) NT 05.02 (W,S,PQ,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ
\\(プリンタ1) W95 04.00 (W,S,PQ,WFW,PBR,W95)
\\(プリンタ2) W95 04.00 (W,S,PQ,WFW,PBR,W95)
\\(マシン名5) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名6) NT 05.01 (W,S,SQL,NT,PBR)
\\(マシン名7) NT 05.01 (W,S,NT,PBR)
\\(プリンタ3) OS2 01.00 (W,S,MBC,PQ)
\\(マシン名8) NT 05.01 (W,S,SQL,NT,PBR)
\\(マシン名9) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名a) NT 05.02 (W,S,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名b) NT 05.02 (W,S,TS,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名c) NT 05.02 (W,S,NT,SS,MBR,DFS) → マスタ ブラウザ
\\(マシン名d) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名e) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ
\\(マシン名f) NT 05.01 (W,S,NT)
\\(マシン名g) NT 05.00 (W,S,NT,PBR)
ファイル・プリンタ共有サービス †
「ファイル・プリンタ共有サービス」と使用するプロトコル・仕組みについて説明する。
参考 †
LAN Manager †
- IBMとMicrosoft、3Comが共同で開発したPC向けネットワークOS。
- 1980~90年代前半にかけて、Novell社のNetWare?などとシェアを争った。
Tags: :通信技術, :Windows