「[[マイクロソフト系技術情報 Wiki>http://techinfoofmicrosofttech.osscons.jp/]]」は、「[[Open棟梁Project>https://github.com/OpenTouryoProject/]]」,「[[OSSコンソーシアム .NET開発基盤部会>https://www.osscons.jp/dotNetDevelopmentInfrastructure/]]」によって運営されています。 -[[戻る>Windowsネットワーク編]] * 目次 [#m08e4e2a] #contents *概要 [#g78317f0] -IBMとMicrosoft社が共同開発した、NetBIOSのAPIを持つ、[[LAN Manager>#h52419e0]]向けプロトコル。 -OSI参照モデルの第5層・第4層のネットワーク サービスから使用される。 -古いネットワークAPIだが、互換性のために現在も残されている。 *OSI参照モデルの対応表 [#u20edb4e] -NBTとNetBEUIはお互いに通信できない。 -古いネットワーク環境ではNetBEUI、IPX/SPX(NWLink)などを組み合わせて使うこともある。 #ref(OSI.png,left,nowrap,OSI参照モデルの対応表) *呼称 [#afdec91a] **プロトコル [#v43a79ba] -NetBEUIと呼ぶ。 -ただし、NetBEUI は、本来はAPI -プロトコルを指す場合、正確にはNBF(NetBEUI Frame Protocol) **API [#t0419348] NetBIOSと呼ぶ。 *特徴 [#c390a2a8] -管理の手間も少なくて済む。 --事前に各ノードにユニークなアドレスを割り付けておく必要がない自己調整型 --各ノードに[[NetBIOS名>ネットワークの基礎編#n3cc4fd9]]を付けておくと名前解決のための[[NetBIOS]]名のブロードキャスで自動的にお互いを識別し通信する。 -プロトコルの仕様も軽くイーサネット内での通信プロトコルとしては、性能が優れている。 **ルーティング能力を持たない [#gf31d96c] ただし、ルーティング能力を持たないので、以下のような問題を持つ。 -ネットワーク分割ができない。 --大規模なネットワークを構築できない。 --名前解決のための[[NetBIOS]]名のブロードキャストを多用するので、ネットワークが飽和しやすい。 **イーサネット限定のプロトコル [#z3e871bb] [[MACアドレス>ネットワークの基礎編#wad16a9a]]のみを使用して通信する~ IPネットワークに対応しないイーサネット限定のプロトコル。 -単一のネットワークに限定される。 -IPネットワークの一般化により特別な用途を除いて利用されなくなった。 **データグラム サービスとセッション サービス [#i4da1f0a] またNetBIOSでは、 -「データグラム型通信」をデータグラム サービス -「コネクション指向の通信」をセッション サービス と呼ぶ。 ***データグラム サービス [#u2288ba2] -データグラム サービスにUDPポートの138番を使用する。 -ネットワーク コンピュータの一覧を得る「[[ブラウジング機能>Windowsネットワーク編#n6aff2c6]]」などに使用される。 ***セッション サービス [#x2d04e8f] -セッション サービスにTCPポートの139番を使用する。 -「ファイル・プリンタ共有サービス」などに使用される。 *NBTプロトコル(NetBIOS over TCP/IP) [#ve85879b] **IPネットワークに対応 [#a5898f64] 現在のIPネットワークではルーティング機能のある~ TCP/IPプロトコルを使用するNBTプロトコルを使用している。 -このため、内部的にIPアドレスを使用している。 -複数のネットワークをサポートする。 **名前解決サービス [#ee95e635] NBTの名前解決サービスは、イーサネット上の各ノード上で動作している。 **Windowsへの実装 [#ee117543] -Windows NT 3.1で初めてNBTが実装された。 -Windows NTではNetBEUIが標準的なプロトコロルであったが、 -Windows 2000からはNBTが標準的になり、NetBEUIは補助的なプロトコルとなった。 **NBTの状況確認(nbtstatコマンド) [#n99af85c] NBTの状態確認には、「nbtstat」コマンドを使用できる。 nbtstat [ [-a RemoteName] [-A IP address] [-c] [-n] [-r] [-R] [-RR] [-s] [-S] [interval] ] -r NetBIOSの名前解決統計情報の一覧を表示する。 -n ローカル マシンのNetBIOS名テーブルを表示する。 -a リモートマシン名で、リモート マシンのNetBIOS名テーブルを表示する。 -A IPアドレスで、リモート マシンのNetBIOS名テーブルを表示する。 -c ネーム テーブルのキャッシュを参照する。 -R ネーム テーブルのキャッシュをクリアする。 -S セッション中のリモートホストの、IPアドレスのリスト -s セッション中のリモートホストの、NetBIOS名のリスト -RR WINSに登録したNetBIOS名の情報を更新する。 RemoteName リモート ホスト名 IP address IPアドレス interval 送信秒間隔。Ctrl+Cを押して停止する。 ***オプション [#vd16c50e] -「- r」オプション --「NetBIOSの名前解決統計情報」が表示される。 --これは、NetBIOSのブロードキャスト・WINSサーバによる名前解決回数の統計(積算値)。 -「- n」・「- a」オプション --ローカルまたはリモートの「NetBIOS名テーブル」が表示される。 --このテーブル1つを利用して名前解決できるわけではない。~ NetBIOSのブロードキャスト・WINSサーバなどを利用して名前解決されるので注意する。 -「- c」オプション --NetBIOS名のキャッシュが参照できる。 --キャッシュにあるNetBIOS名に関しては、~ NetBIOSのブロードキャスト・WINSサーバなどを利用しないで名前解決される。 ***参考 [#z1a8b2e9] -管理者のためのコマンド活用講座 - nbtstat(1)――Windowsネットを調べる:ITpro~ http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100526/348451/ *ブラウジング機能 [#v27ab873] WWWブラウザとは関係ないので注意する。 **機能概要 [#icc44815] -Windowsネットワークの中でも難解な技術の一つで、~ Windowsネットワークを理解する上で非常に重要になる機能。 -簡単に言えばコンピュータの一覧を保持する「ブラウズ リスト」を作成し、~ クライアントからの要求に対してその内容を提供する機能。 -「ブラウジング機能」は、名前解決機能ではなく、~ 名前解決のための[[NetBIOS]]名のブロードキャストでネットワークが飽和しないように、~ 「ブラウズ リスト」を一元的に作成・維持・管理するだけのものである。 **ブラウズ リスト [#xc678194] ***確認方法 [#z4eca970] -「マイ ネットワーク」アイコンを展開することで確認できる。 -この操作は、「net view」コマンドでも可能。 ***保持するマシン [#wc0adb70] ブラウズ リストは、以下のマシンが保持する。 -マスタ ブラウザ -バックアップ ブラウザ **クライアントとサーバー [#y12ec49f] ***マスタ ブラウザ [#h68ab88b] ネットワーク上にあるマシンの[[NetBIOS]]名のブロードキャストを受け取り、~ ワークグループ上の「ブラウズ リスト」を作成する。 ***バックアップ ブラウザ [#rdb31a0c] -同一ネットワークに複数台存在する。 -「マスタ ブラウザ」から「ブラウズ リスト」のコピーを受け取り、~ クライアントの要求に応じて「ブラウズ リスト」を提供する。 -「マスタ ブラウザ」のコンピュータがシャットダウンされた場合など、~ 「マスタ ブラウザ」が発見できない場合は自動的に「マスタ ブラウザ」になる。 ***クライアント [#nb0c996e] -クライアントは、「マスタ ブラウザ」に対して自分の存在を示す情報を登録・更新する 。 -この処理は、Computer Browserサービス プログラムで提供される。 ***ドメイン環境 [#occ45dd2] -ドメイン環境では、ネットワークを超えたドメインのコンピュータの一覧を確認できる。 -「マスタ ブラウザ」以外に、「ドメイン マスタ ブラウザ」が必要になる。 --「ドメイン マスタ ブラウザ」には、DCがなる。 --「ドメイン マスタ ブラウザ」は、 ---「マスタ ブラウザ」から「ブラウズ リスト」を受け取る。 ---そして、ドメイン全体の「ブラウズ リスト」を作成する。 ---その後、「マスタ ブラウザ」にドメイン全体の「ブラウズ リスト」を提供する。 **プロトコル [#nd42c418] -プロトコルがTCP/TP(NBT)の場合、TCP・UDPポートの138番を使用する。 -プロトコルがTCP/TP(NBT)の場合、[[TCP, UDP]]ポートの138番を使用する。 -また、[[NetBIOS]]のプロトコルがNetBEUIやIPX/SPXの場合は、~ プロトコル毎に別々の「ブラウザ」が作成されるなど複雑な動作をする。 **一連の処理 [#o2ad4a36] 「ブラウズ リスト」を作成・維持する一連の処理。 #ref(Browser.png,left,nowrap,一連の処理) ***クライアントがWindowsネットワークに参加する処理 [#n8d0f42f] -クライアントは、起動時に割り当てられたNetBIOS名の登録要求をブロードキャストし、ネットワークに参加する。~ この処理は「ブラウジング機能」と関係ない。NetBIOS名の登録処理である。 -Windowsネットワーク上の全てのマシンが、このマシン名を許可すればWindowsネットワークに参加できる 。~ WINS環境ではWINSサーバがマシン名を許可すれば、Windowsネットワークに参加できる。 -NetBIOS名の重複などでマシン名が許可されない場合は、NetBIOSを使用するネットワーク サービスの提供・利用ができなくなる。 ***クライアントがブラウズ リストに、エントリを登録する処理 [#zd1afef2] -次に、クライアントは「ブラウズ リスト」にエントリを登録するため、クライアントの属性情報をブロードキャストする。 -「マスタ ブラウザ」は、このブロードキャストを受信して「ブラウズ リスト」にクライアントのエントリを登録する。 -これにより「ブラウズ リスト」が作成される。 -また、エントリは一定時間経過すると削除されるため、「ブラウズ リスト」にエントリが登録された後も~ エントリを維持するためのブロードキャスト パケットがクライアントから定期的に送信される。 ***クライアントがブラウズ リストを取得する処理シーケンス [#ua05ef49] -クライアントが「ブラウズ リスト」を取得するための処理シーケンスは少々複雑。この処理シーケンスを次に示す。 |順番|名前解決の方法|h |1|クライアントは、ブロードキャストでワークグループ(ドメイン)内の「マスタ ブラウザ」を問い合わせる。| |2|「マスタ ブラウザ」は、自分自身を含む、「バックアップ ブラウザ」の一覧を返す。| |3|クライアントは、「バックアップ ブラウザ」の一覧から3台を選び、キャッシュする。| |$|以降、3台の「バックアップ ブラウザ」内の一台に「ブラウズ リスト」を要求し、「ブラウズ リスト」取得、ユーザに「ブラウズ リスト」を表示する。| -「ブラウズ リスト」の取得後は、ワークグループのコンピュータの一覧を確認できるようになる。 ***クライアントがWindowsネットワークから離脱する処理 [#y2d06e59] -クライアントは、クライアントはシステムのシャットダウン時に~ NetBIOS名の解放要求をブロードキャストし、ネットワークから離脱する。 -この処理は「ブラウジング機能」と関係ない。NetBIOS名の解放処理である。 **サーバーの確認 [#xf5dfde5] -実際にどのマシンが「マスタ ブラウザ」・「バックアップ ブラウザ」に選定されたか~ を確認するには、各OSのリソースキット付属の「browstat」コマンドを使用できる。 -例えば、「browstat dn」コマンドでトランスポートを参照し、~ 「browstat vw <トランスポート番号>」で選択したトランスポートの~ 「マスタ ブラウザ」・「バックアップ ブラウザ」を確認できる。 -また、記号の意味の詳細は「browstat /?」のヘルプで確認できる。 C:\Program Files\Support Tools>browstat dn List of transports currently bound to the browser 1 \Device\NetBT_Tcpip_{53D0A0BF-EC11-413F-8AEF-ADF5736A22F8} → NBTのトランスポート番号 C:\Program Files\Support Tools>browstat vw 1 → トランスポート番号を指定 Remoting NetServerEnum to \\(マシン名a) on transport \Device\NetBT_Tcpip_{53D0A0BF-EC11-413F-8AEF-ADF5736A22F8} with flags ffffffff 19 entries returned. 19 total. 16 milliseconds \\(マシン名1) NT 05.01 (W,S,NT,PBR) \\(マシン名2) NT 05.01 (W,S,NT,PBR) \\(マシン名3) NT 05.01 (W,S,NT,PBR) \\(マシン名4) NT 05.02 (W,S,PQ,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ \\(プリンタ1) W95 04.00 (W,S,PQ,WFW,PBR,W95) \\(プリンタ2) W95 04.00 (W,S,PQ,WFW,PBR,W95) \\(マシン名5) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名6) NT 05.01 (W,S,SQL,NT,PBR) \\(マシン名7) NT 05.01 (W,S,NT,PBR) \\(プリンタ3) OS2 01.00 (W,S,MBC,PQ) \\(マシン名8) NT 05.01 (W,S,SQL,NT,PBR) \\(マシン名9) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名a) NT 05.02 (W,S,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名b) NT 05.02 (W,S,TS,NT,SS,BBR,DFS) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名c) NT 05.02 (W,S,NT,SS,MBR,DFS) → マスタ ブラウザ \\(マシン名d) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名e) NT 05.00 (W,S,NT,SS,BBR) → バックアップ ブラウザ \\(マシン名f) NT 05.01 (W,S,NT) \\(マシン名g) NT 05.00 (W,S,NT,PBR) -参考 --browstatコマンド ---@IT > 基礎から学ぶWindowsネットワーク 第23回 > 2.browstatコマンド~ http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/network/baswinlan023/baswinlan023_03.html ---@IT > Windows TIPS > Windowsネットワークのマスタ・ブラウザを調査する~ http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2ktips/406browstat/browstat.html *ファイル・プリンタ共有サービス [#e614ed6a] 「ファイル・プリンタ共有サービス」と使用するプロトコル・仕組みについて説明する。 **プロトコル [#ba0955d3] [[SMB、Microsoft Direct Hosting of SMB(Microsoft-DS)プロトコル>ネットワークの基礎編#j38a4dc1]]が利用される。 **処理概要 [#c4a13bbb] -Direct Hosting of SMBを使用する「ファイル共有サービス」の構成と処理概要は、次のようになっている。 -「ファイル共有サービス」は、 --クライアント側の「Workstationサービス」と、 --サーバ側の「Serverサービス」の >2つから構成される。 #ref(SMB.png,left,nowrap,Direct Hosting of SMBを使用する「ファイル共有サービス」の構成と処理概要) *参考 [#p28d086a] **LAN Manager [#h52419e0] -IBMとMicrosoft、3Comが共同で開発したPC向けネットワークOS。 -1980~90年代前半にかけて、Novell社のNetWareなどとシェアを争った。 ---- Tags: [[:インフラストラクチャ]], [[:通信技術]], [[:Windows]]