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目次  †
概要  †
「ルーティング テーブル」を作成と、「ルーティング プロトコル」の選択について説明する。
ルーティング テーブルの作成方法  †
種類  †
- 「ルーティング テーブル」を作成するには、
現在のネットワークの情報をルータが入手する必要がある。 
- ルータがネットワークの情報を入手する方法には、次の3種類の方法がある。
 
| # | 方法 | 種類 | 
| 1 | ルータ自身が接しているネットワーク | 直接接続 | 
| 2 | 管理者による手入力 | 「スタティック ルーティング」 | 
| 3 | ルータ間での情報のやりとりによる入手 | 「ダイナミック ルーティング」 | 
 
特徴  †
それぞれの特徴は、以下のようになる。
| # | 比較項目 | 直接接続 | スタティック ルーティング | ダイナミック ルーティング | 
| 1 | ルータの処理量 | 小さい | 小さい | 情報をやりとりし、計算するのでルータに負荷がかかる。 | 
| 2 | 管理者の作業量 | 初期設定のみで、自動で設定される。 | 手入力のため、初期設定や変更時に作業量が多い。 | 初期設定のみで、自動で設定される。 | 
| 3 | 帯域の使用 | なし | なし | ルーティング情報をやりとりするため、帯域を使用する。 | 
 
このような特徴を持つため、
- 「ルータの数が少なく、ネットワークの変更などがあまり起こらない小規模ネットワーク」の場合は「スタティック ルーティング」を、
 
- 「ルータの数が多く、変更などが起こりやすい中 ~ 大規模ネットワーク」の場合は「ダイナミック ルーティング」を
 
使用するのが一般的である。
ダイナミック ルーティング  †
- 「ダイナミック ルーティング」には、
ルータ間で情報をやりとりするためのプロトコルが必要である。 
- このプロトコルを「ルーティング プロトコル」と呼ぶ。
 
ルーティング プロトコルが決定する項目  †
「ルーティング プロトコル」では、情報をやりとりすることで、以下の項目を決定する。
- 情報をやり取りするルータ
 
- 交換する情報の内容
 
- 交換するタイミング
 
- 受け取った情報の処理手順
 
- ベストパスの選択基準
 
項目の決定に必要な情報  †
- 「ルーティング プロトコル」が、上記の項目の値を決定する上で必要となる情報に「メトリック」と「コンバージェンス」がある。
 
- 「メトリック」と「コンバージェンス」は「ルーティング プロトコル」毎に異なる。
 
メトリック  †
「ベストパス」を決定する場合に使用する値が「メトリック」である。
- 例えば、RIPの場合は、「ホップ数」(中継するルータ数)をメトリックとして使用し、「ホップ数」の値が小さくなるルートを「ベストパス」として決定する。
 
- また、OSPFの場合は、帯域幅を基本としたコストをメトリックとして使用し、コストが小さくなるルートを「ベストパス」として決定する。
 
コンバージェンス  †
- 「すべてのルータが、ルーティング テーブルを最新状態に更新し終えた状態」を「コンバージェンス」と言う。
 
- 「ルーティング プロトコル」毎、「コンバージェンス」になるまでの時間が重要なポイントになる。
 
ルーティング プロトコルの種類  †
IGPとEGPs  †
「ルーティング プロトコル」は、IGPとEGPsとに大別される。
- IGPは、同一のAS内で使用される「ルーティング プロトコル」の総称。
 
- EGPsは、異なるAS間で使用される「ルーティング プロトコル」の総称。
 
具体的なプロトコルとしては、
- IGP:RIP, OSPF
 
- EGPs:EGP, BGP
 
がよく知られている。
IGPのプロトコルの特徴  †
IGPのプロトコルは、同一のAS内で使用される「ルーティング プロトコル」であり、動作の違いにより、以下の3種類に分割できる。
- 「ディスタンスベクタ型」
 
- 「リンクステート型」
 
- 「ハイブリット型」
 
ディスタンスベクタ型  †
- 隣接するルータ同士で「ルーティング テーブル」の情報を交換し、
あて先ネットワークへの距離(Distance)と方向(Vector)によりベストパスを決定する方式。 
- 比較的古いタイプのルーティングプロトコル。
仕組み上、ループを起こす可能性があるのでこのループを抑止するための機能を持っている。 
- 単純な方式で、大規模ネットワークでは、
- 障害時やトポロジの変化時などで再構成されるまでのコンバージェンス時間がかかること、
 
- 全ルータの経路情報を交換するためのトラフィックが大きい
 
 
などの問題がある。
リンクステート型  †
- ディスタンスベクタ型と比べると仕組みはやや複雑であるが、
トラフィックが抑えられ、また、コンバージェンス時間も短い。 
- 該当するプロトコルにOSPFやIS-ISなどがある。
 
EGPsのプロトコルの特徴  †
EGPsのプロトコルは、異なるAS間で使用される「ルーティング プロトコル」であり、
インターネット上の各ASの境界にあるルータ同士、経路情報を交換する。
EGP  †
インターネットの規模が小さかった時代に作られたEGPは、
- 信頼性が低かったり
 
- 複雑なマルチパス環境に対応していなかったり
 
などの問題点があり、現在ではほとんど使われていない。
BGP  †
- 代わって主流となっているのが、EGP(EGP-2)を改良したBGP。
 
- 最新のバージョンのBGP-4では、EGP-2の問題点の多くが解消されている。
- EGP-2と違ってTCPを利用することで信頼性を上げ
 
- 経路状態に変化があった時にのみ更新情報を送る。
 
 
- ポリシー経路制御によって、
経路設定にある程度の意図を持たせることも可能になっている。 
- またBGPは、「CIDR」をサポートしており、
- 受け取った経路やローカル経路を集約し、複数の経路をまとめて1つの経路としてアナウンスできる。
 
- これにより、ルーティング情報の集約による「ルーティング性能向上」、「ルーティング情報の管理の簡素化」を図ることができる。
 
 
- また、BGPにはIBGPとEBGPがあり、
- AS内で使用するBGPをIBGPと呼び(BGP経路の伝播)、
 
- AS間で使用するBGPをEBGPと呼ぶ。
 
- BGPでは、ASを識別するために、AS番号を使用する。
 
 
参考  †
リンクステート データベース  †
各ルータの持つインターフェイスのリンク(Link)の状態(State)状態を保持するデータベース。
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